Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツール
エンボディドカーボンは、製品(建築資材など)の生産、生産活動(建材の建設現場への輸送など)への従事、建設した建物への製品の導入、製品の置き換え、および製品の廃棄に必要な総排出量を表します。これらの排出量は、製品に「エンボディ(内包)」されているものと見なされます。産業や社会的な目標では、これらの排出量を削減することを目指しているため、排出量を測定する必要があります。
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールでは、該当するオブジェクトの体積を特定し、それらのオブジェクトに関連付けられているマテリアルに埋め込まれた値を適用することで、プロジェクトのエンボディドカーボンのレベルを算出します。これによって、統合されたモデリングおよびCO2評価のワークフローが提供され、設計者はマテリアルや製品の選択がプロジェクトの二酸化炭素排出量に与える影響をすばやく測定できます。マテリアルは計算表によって自動的に認識され、計算に組み込まれます。
Vectorworks 2026より前のバージョンでは、Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールは一連のワークシートからしか使用できませんでした。ワークシートは、レポートを作成ダイアログボックスにあるフォーマット済みレポートのリストから引き続き使用できます(フォーマット済みレポートを使用するを参照)。詳細は、Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールユーザーガイドのPDF(英語)をご確認ください。
建設のライフサイクル
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールでは、マテリアルや製品の一般的なライフサイクルステージを次のように定義しています。
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ライフサイクルステージ |
説明 |
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A1-A3 |
製品段階(原材料採取から工場出荷まで) |
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A4 |
輸送段階(工場出荷から建設現場まで) |
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A5 |
建設/施工(建設段階) |
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A1-A5 |
原材料調達から実質竣工(引渡し)まで |
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B4 |
交換(取り替え) |
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B1-B5 |
使用段階 |
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B6 |
運用エネルギー |
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C1 |
解体/撤去 |
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C3-C4 |
廃棄物の再利用/回収/リサイクル/廃棄処理 |
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C1-C4 |
廃棄段階 |
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全ライフサイクル炭素評価 |
A1-A5、B1-B5、C1-C4を対象とし、GIA 1m²当たりで正規化 |
ワークフロー:Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツール
難易度:上級
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールにより、建設ライフサイクルおよび全ライフサイクルを通して、エンボディドカーボンの総量およびプロジェクトの製品/マテリアルの値が示されます。これらの総量を把握することで、建設プロジェクトの二酸化炭素排出量を削減できます。
プロジェクトの建物面積を設定するには、建物のスペースを定義し、必要に応じて他の面積を追加します。
デフォルトの輸送シナリオや置き換えのカテゴリなど、プロジェクトのVectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールの設定を定義します。
プロジェクトの初期段階で、マテリアルや建築部位を特定のメーカーの製品として指定する前に、汎用マテリアルを定義できます。たとえば、建築設計の初期段階で、ファサードを「レンガ」で構成し、内壁を「石膏ボード仕上げの木材スタッド」で構成できます。
初期段階のモデルでは、スタイルによるオブジェクトのデフォルトのVectorworksマテリアルを使用して、エンボディドカーボンを計算できます。マテリアルには、エンボディドカーボンの係数と密度について必要なデータがすでに含まれています。
プラグインオブジェクトの設定ダイアログボックスからプラグインオブジェクトにEmbodied Carbon Sheetフレームワークを追加し、オブジェクトのCO2の合計値を入力します(プロジェクトの後期で、特定のマテリアルと共にオブジェクトに構成要素を追加します)。
デフォルトのVectorworksマテリアルにはエンボディドカーボンのタグが付いており、リソースマネージャでこのキーワードを検索すると、エンボディドカーボンの係数と密度について必要なデータを含むすべてのマテリアルが表示されます。
プロジェクトが進むに連れて、Embodied Carbon Sheetレコードフォーマットを連結し、メーカーのCO2情報を定義して、マテリアルが含まれないモデルオブジェクトにデータを追加します。
オブジェクトの構成要素のマテリアルでCO2および密度データがあらかじめ定義されている、壁、スラブ、屋根、およびその他のツールを追加します。
設計の段階がさらに進むと、さらに詳細になります。たとえば、調達して設置する具体的なレンガ、木材、および石膏ボード製品を指定します。既存の汎用マテリアルを特定のマテリアルに置き換えたり、既存のマテリアルリソースのCO2および密度データをメーカーの値で更新したりできます(通常、メーカーのデータは環境製品宣言(EPD)の形式となっています)。
プロジェクトを修正してデータを更新すると、サステナビリティダッシュボードのVectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールの値に変更が反映されます。設計の最初期段階から最終段階に至るライフサイクル全体のCO2を評価できます。
結果は棒グラフ形式で視覚化され、異なるライフサイクルステージの結果が表示されます。
必要な成果が得られ、プロジェクトが完了したら、その結果をスプレッドシート形式で取り出します。
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールの設定
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールを使用する前に、計算に使用するデフォルト設定を指定します。
デフォルトのVectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールの設定を指定するには:
サステナビリティダッシュボードを開き、Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールを選択します。サステナビリティダッシュボードを参照してください。
設定をクリックします。
設定ダイアログボックスが開きます。
クリックすると、パラメータの表示/非表示を切り替えられます。クリックすると、パラメータの表示/非表示を切り替えられます。
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パラメータ |
説明 |
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エンボディドカーボン - 車両 エンボディドカーボン - 船舶 |
建設のライフサイクル中に輸送で使用する車両および船舶に適用する、デフォルトのCO2換算係数を入力します。 |
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エンボディドカーボン - 廃棄段階 |
廃棄物処理排出量(埋立または焼却処理を対象とした要素)のデフォルト値を入力します。 |
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材料供給元のリスト |
製造場所とプロジェクトの敷地間の、デフォルトの陸上および海上距離を指定します。 |
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材料交換 |
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材料を含む建築部位のリスト |
建物の耐用年数(通常60年)の間に、予想される置き換えの回数を項目ごとに指定します。 |
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英国RIBA 2030 気候課題(RIBA 2030 CLIMATE CHALLENGE)の建物タイプのリスト |
建物のタイプごとに、エンボディドカーボンおよび運用エネルギーに対する、英国RIBA 2030 気候課題(RIBA 2030 CLIMATE CHALLENGE)のデフォルト(通常時)、2025年目標、および2030年目標の値が表示されます。デフォルト値を増減させます。これにより、プロジェクトで気候課題の目標が達成されたかどうかを測定するための基準が設定されます。 |
概念:Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツール
難易度:上級
サステナビリティダッシュボード(サステナビリティダッシュボードを参照)からVectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールにアクセスすると、概観と詳細という2つのメインビューが表示されます。
概観ビュー
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールの概観ビューには、3つのタブが含まれています:
総エンボディドカーボン:ファイルに存在する建物の構成要素のデータが表示されます。スペースオブジェクトによって建物の面積が定義されます。手動でプロジェクトにさらに面積を追加できます。建物の構成要素(壁、屋根、スラブ、窓、ドアなど)をはじめとする要素や、定義されたマテリアル、およびEmbodied Carbon Sheetレコードフォーマットが連結されており、メーカーの値に従って定義されたオブジェクトが、計算に寄与します。
分析:詳細ビューで定義した、マテリアル、製品、およびカスタムエントリのCO2量と併せて、エンボディドカーボンがグラフ形式で表示されます。デフォルトでは、ライフサイクル全体(WLC)の総量が表示されます。データ表示をクリックすると、別のプロジェクトライフサイクルステージを選択して表示できます。分析は、体積(量)とエンボディドカーボンの比較グラフ、または総エンボディドカーボンを表示できるほか、材料、製品、またはその両方を含めるかどうかを選択できます。
英国RIBA 2030 気候課題(RIBA 2030 CLIMATE CHALLENGE):英国RIBA 2030 気候課題(RIBA 2030 CLIMATE CHALLENGE)のさまざまな基準に応じて、プロジェクトのエンボディドカーボンと運用エネルギーが表示されます。リストから適切な基準建物種別を選択します。
詳細ビュー
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールの詳細ビューは、プロジェクトのライフサイクルに応じて列ごとに整理されています。必要なライフサイクルステージをクリックすると、その計算が表示され、ライフサイクル全体をクリックすると、マテリアルまたは製品の総計が表示されます。
2つのタブが存在します:
材料:エンボディドカーボンの計算に含まれる、プロジェクトのマテリアルが一覧表示されます。リストの管理をクリックしてリストの管理ダイアログボックスを開き、含まれるマテリアルを選択します。
マテリアルタブには、ファイルで見つかったすべてのマテリアルが一覧表示されます。選択したマテリアルは、そのマテリアルを使用するオブジェクトの単位当たりの計算に関与します。すべてを選択するには
をクリックし、すべての選択を解除するには
をクリックします。検索ボックスにテキストを入力すると、リストの項目が絞り込まれ、マテリアルを検索できます。
スタイルによるマテリアルタブには、マテリアルがプラグインオブジェクトスタイル別にグループ化されて一覧表示されます。検索ボックスにテキストを入力すると、リストの項目が絞り込まれ、スタイルを検索できます。マテリアルをスタイルで管理する場合、スタイルに追加されたマテリアルの情報によって値が返され、そのスタイルを使用するオブジェクトの単位当たりの計算が行われます。
製品:エンボディドカーボンの計算に含まれる、プロジェクトのオブジェクトが一覧表示されます。これらのオブジェクトにはEmbodied Carbon Sheetレコードが連結されており、それらはメーカーのデータで定義されています。
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツール
Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールを使用するには:
プロジェクトにスペースを追加して、プロジェクトの建物の総有効面積を作成します。必要に応じて、Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールで追加の面積を指定できます。
プロジェクトを構成する適切なオブジェクトを作成します。
仮の設計では、押し出し、テーパ押し出し、汎用ソリッドなどの形状を使用し、マテリアルを使用します。シンボルを作成し、Embodied Carbon Sheetレコードフォーマットを連結することもできます。サステナビリティのレコードフォーマットは、「Libraries」>「Defaults」フォルダの「Record Formats」>「サステナビリティ」ファイルにあります。オブジェクトにレコードを連結する方法に関する詳細は、レコードフォーマットをシンボルまたは図形に連結するを参照してください。
より詳細な設計では、壁、スラブ、舗床、縁石などのツール、屋根作成コマンドを使用します。これらのプラグインオブジェクトの多くには、Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールの計算に関与するマテリアルを含んだ構成要素が備わっています。
建物の窓やドアなどの部位にEmbodied Carbon Sheetレコードフォーマットを連結することもできます。
エンボディドカーボンシートエディタダイアログボックスを開くには、次のいずれかの操作を行います:
Embodied Carbon Sheetレコードが連結されているオブジェクトの場合は、オブジェクト情報パレットのデータタブからサステナビリティデータの編集をクリックします。
マテリアルのない一部のプラグインオブジェクトの場合は、オブジェクト情報パレットから設定をクリックし、サステナビリティペインを開きます。新規フレームワークをクリックします。フレームワークでEmbodied Carbon Sheetを選択してから、フレームワークを編集をクリックします。
アイドロッパツールを使用して、レコードが連結されたオブジェクトからデータを取得し、他の類似のオブジェクトにドロップします。より大規模なプロジェクトでは、プラグインオブジェクトのサステナビリティ設定をスタイルとして保存します。データマネージャを使用し、レコードを検索条件によるオブジェクトとして連結することもできます。
構成要素にマテリアルが指定されたプラグインオブジェクトの場合は、マテリアルのパラメータを編集したい場合を除き、さらなる編集は不要です。マテリアルのパラメータを編集する場合は、ステップ5に進みます。
エンボディドカーボンシートエディタダイアログボックスから、エンボディドカーボンに関連するパラメータを指定します。
クリックすると、パラメータの表示/非表示を切り替えられます。クリックすると、パラメータの表示/非表示を切り替えられます。
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パラメータ |
説明 |
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製品名 |
製品の名前を入力します。 |
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製品説明 |
製品について説明します。 |
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密度 (kg/m3) |
製品の密度を指定します。 |
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重量 (kg) |
製品の重量を入力します。 |
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エンボディドカーボン係数ユニット |
エンボディドカーボンをkgごとで計算するか、製品ごとで計算するかを選択することができます。 |
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エンボディドカーボン係数 |
必要に応じて、エンボディドカーボンの係数を入力します。 |
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仕入れ先 |
製造から使用までに製品が移動した距離の種類を選択します。 |
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大型貨物車両(HGV)輸送 (km) |
仕入れ先に関連するキロメートル数が表示されます(距離はデフォルトの設定から取得されます)。距離を上書きするか、カスタム距離を入力できます。 |
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船輸送 (km) |
製品の海外への移動距離を入力します。 |
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交換カテゴリ |
製品の種類を選択します。カテゴリごとの置き換え回数は設定で指定されています。 |
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廃棄率 [0-1] |
必要に応じて、製品の廃棄に対する廃棄物係数を入力します。 |
構成要素に使用するマテリアルのデフォルトのエンボディドカーボンパラメータを指定または編集しなければならない可能性のある、詳細な設計の場合は、構成要素リストから編集するマテリアルを特定し、リソースマネージャでそれらを参照します。編集するマテリアルリソースを右クリックし、編集を選択してマテリアルの編集ダイアログボックスを開きます(詳細ビューでマテリアルの隣にあるアイコンをクリックし、サステナビリティダッシュボードからマテリアルの編集ダイアログボックスにアクセスすることもできます)。物性値タブをクリックすると、エンボディドカーボンの値を編集できます。メーカーのデータから値を取得する場合は、メーカーの値を選択します。必要に応じて、密度を編集することもできます。OKをクリックすると、そのマテリアルを使用するすべてのオブジェクトスタイルが新しいエンボディドカーボンの値で更新されます。再計算をクリックすると、Vectorworks エンボディドカーボン(Embodied Carbon) 計算ツールで新しい値が使用されます。
サステナビリティダッシュボードに、建物の総有効面積と現在のエンボディドカーボンの計算が表示されます。対象とするレイヤを選択します。設計にスペースやオブジェクトを追加するか、エンボディドカーボンの値を編集するたびに、再計算をクリックします。ダッシュボードに結果が示されます。サステナビリティダッシュボードを参照してください。
必要な結果が得られ、設計が完成したら、取り出しをクリックしてレポートを作成し、審査のため専門家に提出したり、共有したりできます。
