イベントの設計
Vectorworks Spotlightは、あらゆる規模のイベントを設計できる多機能のツールセットを備えています。基本的なイベント計画の機能一式を使用すると、小規模なイベントに適した会場、またはより大規模なショーのデザインの基礎となる、完全な部屋のレイアウトをすばやく作成できます。詳細なイベント計画には、さらに専門的なツールが用意されており、複雑なリギングや照明デザイン、およびビデオを設定できます。
展示会のブースからアリーナまで、多岐にわたるマルチメディアプロダクション空間のデザインには、以下のワークフローを推奨します。このワークフローはデザインの段階別に整理されているため、さまざまな技術チームが簡単に適用できます。段階ごとに、さまざまな規模のイベントを対象としたステップが指定されています。たとえば、小規模なカンファレンスを計画する場合は、大規模なコンサートや演劇に必要となる、より高度なステップを省略できます。
以降のセクションでは、デザインの各段階について説明しています。
● ファイル設定
● プロジェクト共有
● 部屋のレイアウト
● 基本的なリギング
● 照明
● オーディオ
● ビデオ
● ビデオカメラ
● 配線
● レンダリング
● 文書化
● テンプレートファイルを作成し、それを基に新しい設計ファイルの作成を開始したり、他のファイルに標準的な要素を取り込んだりできます。このテンプレートには、日常的に使用するデザインレイヤ、クラス、図面枠、およびあらゆるカスタムリソースを含めることができます。
作成するテンプレートのデザインレイヤを決める時は、作業中のファイルでリギング、照明器具、およびアクセサリを1つのレイヤにまとめ、さらに座席セクションレイアウトと通路を共に1つのレイヤにまとめて、ステージ、フォーカスポイント、およびセット部品を別のデザインレイヤに含めるように考慮してください。すべてのデザインレイヤで同じ縮尺を使用してください。
● 用紙サイズなど、よく使用する設定を適用します。
● テンプレートから、新しいプロジェクトファイルを作成します。
● 照明器具やその他の荷重に対して、Spotlight設定を行います(Spotlight設定を参照)。
● 自動位置決めオプションを設定して、荷重をリギングオブジェクトに連結する方法を指定します。
● 照明器具のデフォルトのパラメータを設定し、Universeの割り当てを自動的に処理するかどうかを指定します。Lightwrightを使用する場合は、自動データ交換を設定します。
● 照明器具に器具のラベルを追加します。器具のラベルを設定コマンドを使用して器具のラベルを作成し、照明器具にどのデータフィールドを表示するか、および各フィールドをどのように配置するかを指定します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● プロジェクト共有コマンドを選択して、イベントスペースの共有プロジェクトファイルを作成します。ユーザは特定のレイヤまたはオブジェクトをチェックアウトして一時的なワーキングファイルで編集し、プロジェクトファイルに変更があれば更新できます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● モデルの基礎として会場の図面を取り込みます。Vectorworksは、PDF、DXF/DWG、およびSketchUpなど、多くのファイル形式の図面要素を取り込むことができます。
● 取り込んだ図面を正しいサイズに伸縮します。
● 基本パレットの描画ツールを使用して、イベントスペースをトレースします。
● 部屋を作成コマンドを選択して、トレースした2D形状から部屋を作成します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● シンプルな2D形状に基づくポータブルステージを挿入します。
● 基本的なステージの階段を作成します。
● 必要に応じて、演台/演壇を追加します。
● 1つ以上の境界線の形状から、座席セクションレイアウトを作成します。
● カーテン、一文字幕、紗幕、およびカーテンパーティションの組立品を挿入します。
● パーテーションポールを配置します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● カスタムのステージ構造物を作成します。
● ポータブルステージツールを使用して円形または四角形のステージを挿入するか、カスタムポータブルステージツールを使用して自由な形状のステージを作成します。
● ステージスロープツールを使用して標準的なスロープを挿入するか、円弧壁ツールを使用して曲線状のスロープを作成します。
● ステージステップツールを使用して、ポータブルステージステップを挿入します。
● 3Dモデリングツールやさまざまなモデルメニューコマンドを使用して、カスタムのセット部品を作成します。
● 実画像の添景を挿入して、詳細なセット部品をすばやく作成します。
● テクスチャリソースを作成するか取り込んで、セット部品に適用し、実物のような外観にします。属性マッピングツールを使用して、テクスチャのサイズや位置を調整します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● 光源ツールを使用して、さまざまな照明効果をすばやく確認し、実際に照明器具を挿入する前に照明の要件を評価します。たとえば、平行光源を挿入して屋外イベントの太陽光をシミュレートしたり、スポットライトを挿入して一般的な舞台照明をシミュレートしたりします。使用する照明の具体的な種類が分かっている場合は、カスタム光源を挿入し、メーカーの仕様に基づいてプロパティを設定します。
暗い劇場の照明を再現するには、単色を使用して背景テクスチャを作成し、黒に設定します。モデルに背景を適用します。環境光をオフにして、必要な照明をオンにします。間接光を小さな数のバウンスに調整します。
● 照明効果をプレビューします。モデルに含まれる照明が8個以下の場合は、OpenGLでレンダリングします。多くの照明をテストする場合は、プレビュー スポットライトなどのRenderworksスタイルを使用します。より高品質のレンダリングには、カスタムRWスポットライトを使用します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● 照明バトン(パイプ)、照明バトン(ラダー)、トラス、トラス(直線)、およびトラス(曲線)の各ツールを使用して、オーディオビジュアル(AV)機器の吊点を作成します。必要に応じて、リギング形状をカスタムの吊り元に変換します。デザインに合わせて3Dでリギングオブジェクトを回転します。
● ホイストツールでホイストを配置して、リギングシステムを吊り下げます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● Lighting Deviceツールをクリックして、照明器具をリギングオブジェクトに配置します。Vectorworksに付属するリソースライブラリ、Vectorworks Service Selectの契約者が入手できるライブラリ、およびサードパーティ製のライブラリから取り込んで、何千という照明器具シンボルが使用できます。
標準の照明器具シンボルを使用するか、または独自のカスタムシンボルを照明器具に変換します。2D/平面ビューで、照明器具の高さは、関連付けられたリギングオブジェクトに基づいて自動的に入力されます。照明器具を吊り元に連結すると、位置も入力されます。
● 照明器具、およびその他の照明仕込み図用オブジェクトに、手動または自動で番号を付けます。照明器具の配置時に自動的に番号を付けるには、自動番号付けモードをクリックしてからツールバーの設定をクリックし、番号付けオプションを指定します。あるいは、照明用番号付けコマンドを使用します。
● オブジェクト情報パレットで照明器具のPurpose(用途)、Color(色)、およびDimmer(ディマー)を指定します。
● DMXパッチコマンドを使用して、パッチに競合がないか確認します。
● 照明器具をフォーカスします:
● オブジェクト情報パレットでPanとTiltの値を調整し、照明器具を特定の位置に向けます。フォーカスエリアを指定コマンドを使用して、フォーカスを展開します。あるいは、フォーカスエリアを指定(パス)ツールを使用し、パスに沿ってフォーカスを均等に配置します。
● フォーカス位置を文書化する必要がある場合は、フォーカス指定ツールを使用してフォーカスポイントを作成し、各照明器具をフォーカスポイントに割り当てます。フォーカスの展開時、またはパスに沿ってフォーカスを均等配置する時、照明器具ごとに自動でフォーカスポイントを作成することもできます。
● アクセサリ配置ツールをクリックして、照明器具にアクセサリを追加します。アクセサリにも、取り込んで使用できる幅広いアクセサリシンボルがあり、さらに自分でシンボルを作成することもできます。
● 照明デザインを微調整します。
● オブジェクト情報パレットでDraw Beam(照射図を作成)を選択し、照射の位置と範囲を確認します。
● 整列ツールを使用し、照明機器を吊り元に沿って正確に位置合わせします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● スピーカーおよびスピーカーアレイツールを使用して、音響機器を配置します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● ビデオスクリーンオブジェクトを挿入する方法は複数あります。
● スクリーンを作成コマンドを選択して、基本的なビデオスクリーンオブジェクトを挿入します。
● テレビ、ビデオスクリーン、スクリーンセット、およびLEDスクリーンツールを使用して、特定の種類のビデオスクリーンオブジェクトを挿入します。
● ビデオスクリーンイメージを設定します。サンプルイメージを選択するか、テクスチャを作成してスクリーンに表示できます。
● モデルをVisionプログラムに取り出す場合は、上記の説明に従ってビデオスクリーンオブジェクトを挿入するか、あるいは後でVisionでビデオスクリーンとして識別できる3D形状を描画します。
● Visionで表示するビデオソースを指定します。ビデオファイルまたはキャプチャデバイスを選択できます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● ビデオカメラツールを使用して、ビデオカメラを挿入します。必要なビデオカメラの数を指定すると共に、アクティブなカメラビューを使用してストーリーボードのショットを計画して作成し、照明などその他のデザイン要素を調整します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● ライティングコンソールまたはビジュアライザに取り出す照明器具には、GDTF Fixture Mode(GDTF器具のモード)を指定する必要があります。Visionプログラムに取り出す時に、Visionのデータを使用する器具にはFixture Mode(器具のモード)を選択します。
● Visionへ送信コマンドまたはMVR取り出しコマンドを使用して、モデルをVisionに取り出します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● 電源ケーブル、マルチケーブル、ジャンパーケーブル、およびデータケーブルツールを使用してケーブルを挿入し、ケーブルワークシートを準備します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● 構造材および天井吊り点ツールを使用して、会場の吊り点を定義します。
● 必要に応じてマザーグリッドツールを使用し、天井吊り点にマザーグリッドを配置して、ブライダルを支えます。
● 基本的なリギングで説明したツールに基づいて、連結されたリギングシステムを作成します。
● ホイスト原点ツールを使用して、関連付けられたホイストの参照点を挿入します。
● ブライダルツールを使用して、天井吊り点または構造材にブライダルや固定式吊り具を挿入します。
● 連結ツールを使用し、トラス接合部または吊り具を使用してリギングオブジェクトを連結します。
● リギングシステムが実行可能で(構造計算に対し)、安全に支えられていることを確認します。
● リギングのシステムチェックを行い、潜在的な問題がないか確認します。
● リギングシステムのすべてまたは一部の構造的な力を計算します(Braceworksが必要)。
● システムチェックまたは計算の後、荷重計算結果の概観ダイアログボックスで結果を確認します。エラーが検出されると、問題を示すラベルがモデルに表示されます。詳細はエラーの表示と修正を行うを参照してください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● Spotlightレンダリングオプションコマンドを使用して、図面のすべてのレイヤにある既存および新規作成した照明器具のすべての照明に対して、光源およびレンダリングオプションを全体的に設定します。
● モデルに背景を追加し、3Dオブジェクトにテクスチャを適用して、リアルな外観または様式化された外観にすることができます。テスト用に、プレビュー スポットライトをRenderworksスタイルとして使用します。最終的なレンダリングの速度と品質を制御するため、RW-カスタムレンダリングモードを推奨します。概念:レンダリングのベストプラクティスを参照してください。
● 3Dオブジェクトにグローテクスチャを適用し、蛍光灯またはネオンライト、あるいはビデオスクリーンのグローをシミュレートします。詳細は反射属性のパラメータを参照してください。
● 照明器具にGoboテクスチャを割り当てて、照明器具をGoboプロジェクターに変換します。
● 霧の中の光の背景テクスチャを適用する場合は、点光源またはスポットライトに対する霧の中の光の効果を作成します。
● 選択した照明が放射する光の色を変更します。
● 光源のプロパティで、光源の色を設定します。
● 照明器具のプロパティで、照明器具の色を設定します。
● レンダリングの登録画面を作成します。
● レンダーカメラツールを使用して必要な場所にカメラを配置し、注視点を設定します。カメラをダブルクリックしてビューをアクティブにします。これにより、視線の問題点をすばやく検出できます。カメラビューの調整をクリックして、カメラの高さ、パン、焦点距離などを調整します。カメラビューからビューポートを作成できます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
● ビューを作成コマンドを選択すると、部屋レイアウトの2つのシートレイヤビュー(2D平面ビューと基本的な3Dレンダービュー)が自動的に作成されます。
● シートレイヤを印刷または取り出します。詳細は、印刷および ファイルを取り出すを参照してください。
● 照明の文書を作成します:
● 器具概要ツールを使用して、照明仕込み図の照明器具とアクセサリの概要図を作成します。選択した吊り元の概要図を作成するには、オブジェクト情報パレットで吊り元の概要を挿入をクリックします。必要な合計数を現在の台数情報と比較するには、照明器具のインベントリ設定コマンドを使用して台数データを入力します。
● 器具の一覧表を作成コマンドを使用して、一覧表や色・フォーカス別集計を作成します。
● リギングの文書を作成します:
● リギング形状および連結されている荷重から、概略図を生成します。
● ホイストレポートを作成コマンドを使用して、ホイストデータおよび測定値のリストを作成します。
● ブライダル組立図を作成を選択して、簡易組立図をすばやく生成します。ブライダルワークシートを作成コマンドを使用して、ブライダル部品ワークシートを作成します。
● 構造計算(Braceworksが必要)を行う場合は、計算結果のレポートを作成を選択して、カスタマイズしたPDFレポートを作成します。Braceworksシステムの取り出しコマンドを選択して、構造エンジニア向けに計算結果をSCIAまたはDSTV形式で取り出します。
● ビューメニューのコマンドを使用して、メインの照明仕込み図、詳細ビュー、断面ビュー、カメラビュー、および仕込み図用のビューポートなど、印刷または取り出したいビューポートを作成します。必要に応じて、クラスとレイヤを表示または非表示にし、図面枠、寸法、および注記などを追加します。寸法テープツールを使用して、最終的な設置を保留にしている項目のおおよその位置を示します。
● パブリッシュコマンドを使用して、選択したシートレイヤをプリンター、あるいはPDFやイメージファイルなどに簡単にパブリッシュできます。パブリッシュ設定は、保存して再利用できます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~